CLOSE TO THE STRAIGHT EDGE

formally known?? as ANGLER ON THE HILL

篠田昌已/COMPOSTELA

篠田昌已×関島岳郎×中尾勘二の3人でコンポステラというバンドをやっていますが、それとは別に篠田昌已名義でタイトルがコンポステラという作品。PREコンポステラとでも言いましょうか、3人のコンポステラと対照的に大人数でのアンサンブルを堪能できます。参加メンバーはコンポステラのメンバーに大熊ワタル久下惠生エマーソン北村、西村卓也などが有名どころでしょうか。チンドンの高田宣伝社の方も名を連ねています。大熊さんなんかはクラリネット吹きとしてのキャリアでいえば最初期の録音物ではないでしょうか。このユニットで如実に現われてくる篠田さんの歌心、これを更に煮詰めて抽出すべく結成されたのがコンポステラでないかと。それゆえのあまりにも簡素な3人編成。篠田さんが亡くなったのちストラーダとしてなおその歌心は受け継がれていて、一方では歌心を損なうことなくその雑多なミクスチャー感覚、あるいは変拍子を多用するクレヅマーなど東欧トラッドやちんどんなどのリズムを推し進め、作曲、編曲によるアンサンブルに特化したのがシカラムータではないかと思います。つまり全てはここから始まっていると。今でも我方他方なんかをシカラムータで演奏することもありますし。そういう意味でこの辺の音が好きな人は避けて通れぬ盤なのだけど、なかなか手に入らない。こういう音は常に誰かが手に取れるようにあるべきだと思うんですが。なかなか難しいところなんですかね。ちなみにブックレットには篠田さんの解説とは別にこだま和文のコメントもあって、これが実にいい。これを読んで合点が行ったのは、こだまさんのトランペットの響きにある祈りのようなものはどこから来るのだろうかということ、篠田さんの音を受け継いでいるのではないだろうか、と。それであの音の説得力か、と。決して派手ではないがひと吹きひと吹きに魂を込めるような吹き方、高らかに鳴らすだけが管楽器じゃないだろう、大きく鳴らせばいいってもんじゃない、響くというのはどういうことか、ということをこの二人の管楽器奏者のつながりをもって実感したわけです。