CLOSE TO THE STRAIGHT EDGE

formally known?? as ANGLER ON THE HILL

SUMMER SONIC 2014@幕張

朝起き。朝食をとり、家を出る。今日は本当に久し振りのライヴ、フェスならそれこそ2~3年ぶりとかになってしまったのか。コンビニで水など買って電車に揺られ。新宿から東京駅、長い乗換などえっちらおっちらと遥々幕張まで来た。サマソニだ。サマソニは2006年に一回だけ参加したことがあるがそれ以来ということはかれこれ8年ぶり。幕張の景色なんかもあんまり覚えちゃいない…と思ったがそうでもない。こないだの横アリもそうだけど何だかんだ覚えているものだ。メインゲートを避けるので横道に逸れる。天気予報が嘘のように照り付ける太陽、コンビニで日焼け止めを買ってQVCエリアとメッセの間のゲートから入場。これは便利かも。一瞬も並ばずに入れたのは2日目だからかゲートが増えたからか。8年も経てばサマソニもそれなりに進化しているということ。まずは特に見るものもないけれど海を見にビーチステージを目指す。この辺りは少し様変わりしている。新しいステージができたりして。タワーのブースで妻はサングラスを買う。本当に日差しが強い。防砂林を抜けるとビーチステージ、というのは変わらず。ただ少し殺風景になったと感じる。まずは一杯、乾杯、ビーチステージの若者向けのバンドの演奏が始まったくらいでもういいか、とビーチステージを離れる。物販を冷かしてガーデンステージを目指す。ここは前回来た時はなかったスペース、キャンプサイトと隣接する新しいステージで芝生の解放感のあるスペースの向こうに海が広がるなかなか素敵なロケーションのステージ。少しフジロックや朝霧ジャムなどのオーガニックな層をターゲットにしているようでもある。ここでかまやつ御大とKENKENと15才の天才少年からなる年の差グループLIFE IS GROOVEというバンドを聴きながら日陰のスペースで昼食。カレー、美味しくない。LIFE IS GROOVEはソイルのメンバーをバックに、金子マリをゲストに迎えたりしてなかなか元気がよろしい。最後にストーンズのサティスファクションをカバーしはじめたのでかまやつさんを見にステージを偵察。皆元気だ。
そのまま一杯飲んでガーデンステージで今回のお目当ての一つ小島麻由美を。新宿のリキッドで最後に見たぎり(その後一度学祭で見損ねたのだった)だからそれこそ10年ぶり。何年ぶりとかばかりで復帰感アピールしすぎか。ガーデンステージはステージからPAブースまで屋根が付いていて助かる。本当に暑い。小島麻由美は新作のバンド(ハッチハッチェル、カジヒデキ塚本功)を率いて余裕のステージング。相変わらずグッとくる。途中サックスのゲストが入ったりして、新作を中心にセシルのブルースや蛇むすめ、そしてひまわりで感極まった。何だかもう満足だった。暑さに参った妻はもう限界のようだし早々にメッセに移動。のタイミングでトランペットのシュン君に出くわす。メッセは涼しい。前回来た時は趣もクソもねーなと思ったがこれはこれで良いのかも。室内にデコレーションが増えたりしたこともあるか。
ロバート・グラスパー・エクスペリメント。今回サマソニに行こうと決めたのがこのRGEが出るということで。RGEを見るチャンスは今までもあったのだけれどどうしてもブルーノートビルボードへのアレルギーが強くて。サマソニなら何も構えることなく楽しめそうと思った。毎年出るフジのガセリーク、去年だったか今年だったかRGEがラインナップされて肝を冷やした(そのガセリークは1/3くらい当たったりするので…)のもフェスで見たい、でもフジは行けなさそう(絶対悔しい思いするでしょ)というのがあったから。今回サマソニに出演が決まった時もヤラレタ!と思ったがこうして参加することになればこんなに嬉しいことはない。僕が曲がりなりにもジャズを仕事にしはじめ妻が一番気に入ったのもRGEだったから二人ともこのステージを本当に楽しみにしていた。マウンテンステージはステージの位置を横にして大きくなった。2番目に大きいステージ。いい位置を陣取り待機。RGE登場。皆デカい。デリック・ホッジではないベーシスト(後で知ったがバーニス・トラヴィスという人、クリス・バワーズのアルバムに参加してたりするらしい)のリフから徐に演奏が始まる。最初はゆったりと、しかしケイシー・ベンジャミンのヴォコーダーで会場のボルテージはグッと高まる。マークコレンバーグの恐ろしいドラミングはまるで機械のように細かい刻み、しかしながら機会には到底出せない絶妙な揺らぎでグルーヴを醸し出す。そこにグラスパーの流麗なピアノが立ち上ると一瞬にしてムードが変わる。引き締まる。やはりこのバンドはロバートグラスパーのバンドなんだ、と思い知らされる。ゲットラッキーやスメルズライク〜なども織り交ぜたエンタテイメント性、一瞬も目を離せない圧倒的な演奏、トラブルにも動じず進んでいく柔軟性や自由度は間違いなくジャズのそれ、しかしながらフロアが感じて動いている様は旧来のジャズではないし、かといってブラックレディオに特徴的なブラックミュージックへの傾倒とも違う。トラブルというのはベースの機材トラブルからかベースが抜けたことなのだが、なぜか一緒にケイシーも捌けた後のエレピとドラムのデュオ。あれはどうやらアルバムではノラ・ジョーンズがヴォーカルをとっている曲だったようなのだがそのデュオの演奏がエラくカッコよかった。今年出たブラッド・メルドーとマーク・ジュリアナのアルバムを少し思い起こした。あれはアルバムで聴ける音ではないしRGEはやはりジャズなんだと確信させる瞬間だった。その他グラスパーのシンセ使いも新鮮だった。ピアノの人という印象があったからあそこまでブイブイシンセを弾くイメージはなかった。フュージョン黎明期のようなハイパーなカッコよさをRGEから感じられるとはまったく想像していなかったが、そういえば、というか成程、グラスパーはやはりハービー・ハンコックの系譜の人だった。スタンドアローンで締められたステージ、本当に素晴らしかった。妻もご満悦でもう今日は帰ってもいい、くらいのテンションだった。
少しおなかが減ったのでフードエリアで軽食。美味しくない豚串を。何かのブースでアイヴァンとホラン千秋を見た。ホラン千秋の顔がアイヴァンの半分くらいだった。ソニックステージでメトロノミーを見る。メトロノミーが流行っていた頃、なぜかニューレイヴの流れで紹介されていたこともありまったくスルーしていたのだが今回あまり見るものないなーと色々予習していたところメトロノミーが思っていた音と全然違い面白かったので見ることにした。ステージは赤〜オレンジのグラデーションの色使いの雲で飾られてそれも可愛くて良かったが、メンバーそれぞれのブースがカラフルに発光する様も合わせてレトロフューチャーな趣と極上のシンセポップがとても合っていて、そして適度に踊れるとても楽しいステージだった。今回のサマソニの発見はこのメトロノミーに尽きる。いいバンドだ。妻の長年愛用していたKEENのサンダルのソールは剥がれていた。
続いてマウンテンに戻り、エリー・ゴールディング。妻の希望で(僕はからかっていたけど)見る。サマソニはこういうラインナップが強い。妻も、どうしても、と言うほどではないがやっぱり見たかったらしく(というか1曲ラジオでよく流れていた曲を聴きたかったのだそう)途中物販を見に行ったりしながら結局最後まで見た。RGEで今日の目的は果たしているし、こういうエンタテイメントな流れも悪くないと思いながら再びガーデンを目指す。
日が落ちかけたガーデンステージは潮風が強く過ごしやすくなっていた。すでに始まっていたEGO WRAPPIN'。EGOは何度か見ているのでこれも余裕で楽しむ。バンドメンバーを一新したようで、ASA-CHANG、鹿島達也、清水一登、ゴセッキーというかつての小島麻由美的な感じもありつつここでは清水さんの鍵盤裁き(ヴィブラホンも叩いていた)がスパイスになっていた。流石ライヴバンドな彼らのエンタテイメント力は半端なくその辺りまったく隙がなかった。段々日が落ちて夜。
メッセに戻る。足がパンパン。ピクシーズまでの時間が結構あるので帰り時間の相談と夕食、さっきのブースにはホラン千秋しょこたん佐藤隆太がいた。
相談した結果、明日に響くのもよくないのでピクシーズチラ見、クラフトワークチラ見で終わりということに。ピクシーズは3曲、バックのテレビを積んで並べたようなセットが印象的。バズ様の雄姿も見れた。クラフトワークはwe are the robotとちょっとだけど3Dもしっかり堪能。カッコよかったけどあまり後ろ髪も引かれず退出。スッキリとした気分で電車に揺られ帰る。家の近くのコンビニでアイスを買って乾杯。とても楽しかった。今年の夏も楽しかった、と胸を張って言えそうだ。