CLOSE TO THE STRAIGHT EDGE

formally known?? as ANGLER ON THE HILL

友川かずき/俺の裡で鳴り止まない詩〜中原中也作品集〜

季節もなんか違う気がするし、最近のムードでもないのだけれど何故かピンと来て手にとり久しぶりに聴いてみた。友川かずきは結構な枚数のアルバムを出しているのでPSFが絡む前の作品を取りあえず集めようと思っているのだが物によっては手に入りにくいこともあって、いや、こないだ紙ジャケで出たな、ただその時のムードなんかもありなかなか集められないでいる。僕はこれ以外には同じくベルウッドからのライヴ盤しか持っていないのだが聞くたび後頭部を鈍器フルスイングで打ち抜かれたようになる。ところで三上寛と同時に語られたりすることもよくあるような気がするが、おそらく広く東北地方から*1の怨み節という共通項からだろうか、どちらも生半可な気持ちで聴ける歌ではない。日本でしか生まれ得なかったパンクスという表現をする人もいるが…とにかく凄まじい。気軽にヤバい連発している人たちはこういう本当にヤバい音を聴いたことがないんかな?と思うこと頻り。本人たちがどう思っているかはともかく、というか僕だけが勝手に思っているだけかもしれないが、この両雄、三上がフリージャズとの親縁を見せる一方、友川はJ.Aシーザーをプロデュースに向かえプログレとの邂逅を果たした、実に対照的ではないですか。といっても、これを買った当時は、J.Aシーザーというキーワードから想像していた音より地味だなという印象を持った。それよりもとにかく友川の歌の強烈さ、このアルバムはサブタイトルからもわかるとおり中原中也の詩にメロディを付け歌ったもので、おそらく最も有名な「汚れつちまつた〜」もある。この中原の詩をもってして負けていない友川の歌の強さ、そのインパクトに尽きた。しかしながら、あらためて聴いてみたところJ.Aシーザーのアレンジは全然地味じゃない。寺山修司の劇伴をやってきたJ.Aシーザーだから東北の歌との親縁性ということもさることながらとにかく友川の歌のインパクトを際立たせるための要所要所の作りこみは実は仰々しくあったりもする。中原の詩があり友川の歌がありこのアレンジがあってこのアルバムの薄れることのないインパクト。久しぶりにこの衝撃に再会し、また欲が出てきた。

*1:友川は秋田、三上は青森