CLOSE TO THE STRAIGHT EDGE

formally known?? as ANGLER ON THE HILL

LEONARD COHEN/The Essencial LEONARD COHEN

エッセンシャル・レナード・コーエン

エッセンシャル・レナード・コーエン

僕がレンタルを利用するとき、そういえばちゃんと聴いたことなかったな的な借り方とかもするのですが、これはそういえば、にも思い当たらない程名前が浸透しているためスルーにすら及ばないという感じだったのですが、ひょんなこと*1から興味が湧き、そういえば…この人の音楽はちゃんと、どころかまったく聴いたことない、なのでどういう音楽をやる人なのか皆目見当つかぬという状態。例えばレナード・コーエン程名前が通っているのって誰でしょう、ちょっと思い当たらないけど、知る人ぞ知るという感じではないし、皆が何かしら曲を知っているビートルズストーンズ級は行き過ぎか。ディラン、ニールヤングなんかもまだちょっと違う、何だろうフィル・コリンズとかヴァン・モリソンつーとこかな、ただフィルは出自がアレだし、ヴァンはもっと語られている気がする。と、書いてみたがただ単に僕だけがそう感じているだけで実際はもっと聴かれているとか、もっと知名度は低いとか、アンケートでも採らなければわからないし別にそれを知ってどうなるわけでもないからまあその辺は正直どうでもいいですよね。とにかく僕にとってのレナード・コーエンはそういう妙な位置にいる人物。ただ、見つけてしまったからにはその印象も大分変ってくるわけだけど。レナード・コーエン、いい。パっと聴いてゾクゾクっときてこれはちょっと素晴らし過ぎるんじゃないかオイオイと興奮してしまうような音楽…ではない。レナード・コーエン、顔も初めて見たかも、えらいおっさんやなー、カッコいい、何々…詩人うんたらかんたら、なるほど、とりあえず再生、……。声渋いな……。……。………。という風にただ黙って聴き続け、時折歌詞を見たり、そして聴き終えてしばらくしてから。ああこれは、いい。しみじみというのともちょっと違うが、ポツっと、いいと思う。でもその「いい」はポツンとしているからといって軽いものでも取るに足らないものでもなく、ただ大袈裟な絶賛を避け、音の一つ一つを丁寧に聴きとるような、そんな感覚。ベスト盤なので、アレンジに時代の変遷を感じ、僕があまり好きではない80年代から90年代にかけての変に響くような音響処理されたドラムの音とかも入っていたりするのだけど、それも何だかよく思えてくる。というのも彼の朴訥で低く深い歌声は時代によって変わることがなく、変わらない彼の歌と裏腹に変遷する時代時代の音、しかし変わりながらもその歌を損ねないようなシンプルなものばかりで何となく時代が彼の歌に寄り添っている印象を受けるから。レナード・コーエン、いいです。たぶんもし誰かが僕にレナード・コーエンを聴かせるとします、そんな状況まず考えられないけど、聴いた僕の反応を見てその人は「あれ、あまりお気に召さなかったかな…」と思うかも、でも僕はとても好きです。衝撃を受けるとかじゃないので、彼の音源を集め始めるとかはしないと思うけど。でも何かしら1枚、いつでも手に取れるようにはしておきたいな、という気持ち。そういう意味でこのベスト盤はボリューム的にも時代を追った曲順もちょうどいいのかもしれません。

*1:本当にひょんなことです、気になさらぬよう