CLOSE TO THE STRAIGHT EDGE

formally known?? as ANGLER ON THE HILL

JAZZARTせんがわ2012@せんがわ劇場他

朝起きる。うっかり二度寝してしまい起きたら出かける時間になっていて慌てて出掛ける。寝癖を立てたまま。仙川へ。もう5回目という仙川にて夏に行われるJAZZの裏祭典(表はやはり東京JAZZか?)に初めて参加することになった。しかも自由即興という公募参加型のプログラムに応募し参加することになったので少し早めに会場へ。劇場の裏口から入り簡単に受付を済ませ劇場内にて待機。もともと10名程の定員のプログラムだが応募者多数にて25名程になったそうで。ざっと見てギターを持っている人が多い。何も持っていない人もいたり琴らしき長い楽器を持った人もいた。僕はヴァイオリンで参加なのだが意外にも他にはいなかった。待っている間、一番最初のプログラムである子供の為の歌遊びの音が漏れてきて、坂本弘道さんのチェロとおおたか静流さんの歌声が聞こえてきたりする。にほんごであそぼの曲など。そのプログラムが終わりロビーに子供のざわめきが流れ出てくると同時にホールへ入る。引っ込み思案の僕は…というか楽器が楽器なのでセッティングなどの確認も満足にできないまま本番の時間になる。イベントのプロデューサーでありこの自由即興のリーダーでもある巻上公一さん、坂本弘道さん、藤原清登さんが挨拶し簡単な説明をする。あらかじめ演奏者の組み合わせが決めてあり、それにリーダーが混ざることもあるという感じで、急きょチェロの四家卯大さんも参加されるとのこと。そして時間も押しているためかさっそく始めますということで名前を呼ぶのだがいきなり僕の名前が呼ばれてしまった…!心の準備が…!と言っている場合でもないので観念してステージに上がる。最初の組み合わせはピアノとドラムと僕のトリオ。勿論初対面で打ち合わせも全くなしの状態から演奏を始めたがどちらの方もそれぞれ演奏経験が豊富とみえ、僕もその二人の音に乗せていく。結果巻上さんからも指摘があったが割とジャズ寄りの即興になった。ピアノの方とは後でたくさんお話する機会がありその時にも話したがやはりまったくこのプログラムに関して未知なので、どうしても演奏をまとめようという方へ向かったのだろうか。その後の演奏を見るともっと自由にやるもののよう、というかそういう雰囲気。ただ全体でそのフリーに拘りすぎてどれも同じような方法で、時間も限られているからか印象が似たような感じになってしまうなぁと感じた。そんな中でこのまとめようとする演奏は異色だったのではないだろうか、とそういう点も面白いなと思った。僕はこの後もう1回、おそらく一人2回ということだろう、演奏したが、その時は僕の他にドラム、ヴォーカル、そして藤原さんのベース。ドラムの方はこのプログラムの常連のよう、ヴォーカルの方はかなり自由なスキャット、藤原さんはリーダー陣の中ではおそらく一番JAZZなプレイヤー。ということで僕も1回目よりも演奏をまとめる力を除いてもっと自由にやってみた。2回とも同じような演奏をしても面白くないのでこの僕の組み合わせはかなり満足できた。反省点はもっとヴォリュームをあげれば良かったかな、と。実は家でエフェクト音を出すという目的以外でアンプに繋ぐのは初めてで、しかもアンプ直結なのでハウリングなどの心配が拭えず抑えめになってしまったかなぁと。ちなみに他の演奏はというと、琴あり大正琴あり、サックスあり尺八あり、床に色々並べたりする人もいたりと本当に巧拙含め色々な人がいて面白かったが、チェロに金属片やひしゃげたシンバルなどを差し込み電マで震わせ放り投げ踏みつけ弓の毛を引き千切り最後に小豆をぶちまけるというパフォーマンスをした坂本さんが全部持っていってしまったw。プログラムが終わりホールを出ると共同通信の記者に取材されたがどこにどう載るのか載らないかもよくわかりません。
天気が良くないのでJAZZ屏風は劇場のロビーと入り口で行われていて入口の方では小さい子がトランペットを吹いていた。JAZZ屏風はこの後駅前にも見に行ったが本来は3つの屏風が街中に点在するというのが本来の形のようだ。それ以外にはオープンスペースというさらに屏風も立てずに演奏するというプログラムもあったがそれは中止になったようで、その出演者だった北陽一郎さんが屏風でも演奏していた。
倉知久美夫トリオ
一度聴いてみたかった倉知久美夫。トリオは+菊地成孔外山明。このトリオは定番のようです。菊地さんは最近のHIPHOP趣味の影響かギャル男っぽいパーカーにLAのロゴのNEWERAのキャップ、しかもシールどころかタグまで付いたままという気合の入りようwww。一方倉知さんと外山さんの地味な出で立ちとの対比が可笑しい。倉知さんの歌は噂には聞いていたが本当に独特で、しっかりとした発声、声質としてはルーファスウェインライトやベイルートアントニーアンドジョンソンズなどに見られるような感じ、に子音をはっきりそのあとは空気を含んでスッと抜けるような…とても素敵な歌声。そこに日本の童謡のような節回しのメロディに独特な詩が乗る。詩のリズム感がよく歌に合っていて楽しくもある。1曲目に歌った「味噌がいっぱい」という歌がとても印象的で頭から離れなくなってしまいました。ちなみに菊地さんはサックスとピアノ半分半分で演奏してました。
ペットボトル人間
今回のお目当て。特に前知識はないのだけれど『聴いたら危険!ジャズ入門』(田中啓文著)で取り上げられてるのを読んで以来気になっている。なんたって名前がいい。ペットボトル人間ですよ。ペットボトル人間は日本人のサックス奏者吉田野乃子、Dave Miller(ds)Dave Scanlon(gt)からなる若いトリオでジョンゾーンの秘蔵っ子らしい。フリーというよりはフリーキーな変拍子ジャズパンクといった痛快な音楽で3人の音の出し方もそれぞれ独特でとてもカッコ良い。ユニゾンのパートを絶妙にズラしたりするところに震え上がった。これはマスロック(死語)好きにも十分アピールできる音です。
藤原清登トリオ+巻上公一
先ほどの自由即興で僕も共演することのできたイベントのプロデューサーの一人藤原さんのトリオ。イタリア人のピアノDavide SantorsolaとNYで活動しているという福家俊介さん(dr)のトリオ。最初は3人で今回のイベントの中では一番わかりやすいJAZZ。というかこういうのは僕は詳しくないのでJAZZの中でもどういう分類になるのかわからないですけど後々小耳に挟んだところでは割と普通のイタリアンジャズ?という、まぁわかりませんが少し眠くなってしまいまして、そこに巻上さんが呼ばれてあの独特な歌の即興を差し込むと何とも不思議な音楽になり、巻上さんに呼応するような演奏に微妙になっていく感じがとても面白かったです。
坂田明+ジム・オルーク+山本達久+高岡大祐
本日のトリ。坂田さんを見るのは初です。このカルテット、面子を見るだけで鼻血が出そう…。注目していたのは高岡さん、渋さでしか見たことなく、チューバという楽器の可能性を追求しているというようなツイートなどを読んで演奏を見てみたいとずっと思っていました。後達久さん。足のことなどあり、ついさっき町に出たときカフェの中にいる車椅子の達久さんをみかけただけにどういう演奏をするのかまったく予想ができない、ただステージに立つからには中途半端な演奏はしないだろうとは思うのですが。ちなみにステージへは杖をついて登場。演奏は全体的にほぼノンストップ。音のでかさなどもこれまでの出演者と比べものにならない。坂田さんはサックスを吹いていなければ感じのいいお爺さんといった出で立ちなのにそのブロウはどこから出てくるのだというくらいに力強いもの。また高岡さんはマイク二本を駆使してマウスピースを外したり、吸ったり、普通の人なら考えも及ばない方法でチューバから色々な音を出す、地鳴りのような音から拡張された吐息のような音まで。ジムもドライバーなどを使ってギターから奇妙な音を出したりする。そして達久さん。足元はバスドラなし、代わりに外山さんがスタンディングでやる時のように両面太鼓、この場合フロアタムだが、を下から叩けるようにしたペダルと手で低音に何の遜色なく、さらにはベースアンプにつないだマイクでそれぞれのドラムの残響を掬い取って増幅する、フロアタム上に金属を並べたりそれを放り投げたりと見ていてとても面白い。それぞれが楽器の可能性というものを極限まで追求しているというのにとても感銘を受けた。僕がヴァイオリンでやりたいこと、エフェクトや色々なスタイルの採集、それと木の箱に弦を張ったものという物体自体がどういう出音の可能性を秘めているか、弦を擦る弾く、以外にもそれはたくさんあるはず、ということ、それを実際に音楽に取り入れ成り立たせるということに関して。今日は自分の演奏、他の参加者の演奏、そして本編のそれぞれの演奏、すべてに学ぶところがありとても充実したイベントであったと思う。最初に一緒に演奏したピアノのサマタさん、藤原トリオの前、坂田カルテットの前、と駅まで色々お話できてそれも新しい出会いができてよかった。久しぶりに長丁場のイベントに参加してぐったりしつつもいい気分で帰宅。